「そろそろ家が古くなってきたから、直さないといけないな…」
「この間の台風で、家の屋根が壊れてしまった…修理にどれくらいかかるんだろう?」
「見積もりをとったら50万円以上!安くなる方法って何かないの?」
家の修理代、確かに高額ですよね。しかも、壊れる時は大体1か所では済まないため、思っていた以上の金額がかかることもあります。
しかし、実は「火災保険」を利用すれば、家の修理代をいくらか安く、うまくするとタダで済ませられることをご存知ですか?
この記事では、意外と多くの方が知らない「火災保険を使って家を修理する方法」について、くわしく解説していきます。
家の修理費用はいくら?雨どい・壁・瓦屋根などの修理・補修相場
そもそも、家の修理代がどれくらいかかるのか見当がつかない方もいらっしゃるかもしれません。
まずは、おおよその相場からご紹介したいと思います。
補修箇所 | 修理内容 | 相場 |
外壁 | ヒビ割れ | 1~50万円 |
塗装 | 60~100万円 | |
コーキング | 5~50万円 | |
張り替え | 60~300万円 | |
屋根・瓦 | 雨漏りの補修 | 5~30万円 |
瓦の差し替え | 1~20万円 | |
塗装 | 30~100万円 | |
カバー工法 | 80~120万円 | |
葺き替え | 40~200万円 | |
雨どい | 交換・補修 | 1~3万円 |
塗装 | 5~15万円 | |
全交換 | 10~60万円 |
修理内容や範囲によっても金額は大きく変わりますが、ある程度広範囲に直す場合、50万円以上かかる可能性があります。中でも、外壁のサイディングの張り替えや、屋根の葺き替えなどは、100万円以上かかることが多いです。
また、どんな修理でも足場の設置が必要になると、10~20万円はプラスされると考えたほうがいいでしょう。
特に自然災害が年々深刻化している昨今、台風や豪雨などによって家が大きくダメージを受けてしまった方は多いと思います。「自然がやったことなのに、こんなに高額な修理費がかかるなんて…」と思うのも無理はありませんよね。
【意外と知らない】火災保険を使って、家の修理・リフォームができる!
「修理代を安くする方法ってないの?」という方にぜひおすすめしたいのが、火災保険を使った方法です。
「え!?火災保険って火事の時しか使えないんじゃないの?」と思っている方が多いのですが、実はほとんどの火災保険は自然災害もカバーしています。
日本では、火災保険に入っていない家のほうが圧倒的に少数。しかし、「火災保険は火事の時にしか下りないもの」と思い込んで、本来もらえるはずの保険金を受け取っていない方が多いのです。
火災保険金を受け取れる可能性の高い3つの条件
家の修理で火災保険金が給付される可能性があるのは、以下の3つの条件を満たしている場合です。
- 自己所有物件であること
- 築5年以上の物件であること
- 火災保険に加入しており、保険料を滞納していないこと
「築5年以上」とあるのは、大体それくらいの物件ですと、調べれば高確率で何らかの問題箇所が発見されるからです。しかも、ご本人が気づいていないだけで、実は雨風や雪などの影響で壊れてしまった可能性もあります。
家は、住んでいる人でも正確な状態を知らないことが多いため、まずは調べてみることが大切です!
火災保険でできる修理とできない修理
「でも、うちの火災保険で本当に修理代なんて出るの…?」という方は、まず契約内容を再確認してみましょう。
火災保険は、大きく「住宅火災保険」と「住宅総合保険」に分かれます。それぞれの補償範囲は、おおよそ以下の通りです。
補償範囲 | 住宅火災保険 | 住宅総合保険 |
火災 | 〇 | 〇 |
落雷 | 〇 | 〇 |
破裂・爆発 | 〇 | 〇 |
風災・雹(ひょう)災・雪災 | 〇 | 〇 |
水災(洪水・床上浸水) | × | 〇 |
漏水などによる水濡れ | × | 〇 |
物体の落下・飛来・衝突 | × | 〇 |
騒擾(そうじょう)・集団行動等にともなう暴力行為 | × | 〇 |
盗難による盗取・損傷・汚損※ | × | 〇 |
※家財補償を付けた場合のみ
住宅火災保険でも住宅総合保険でも、火災に加えて「落雷」「破裂・爆発(ガス爆発など)」「風災・雹(ひょう)災・雪災」はカバーされています。
さらに住宅総合保険に加入している場合は、「水災」「水濡れ」「外部からの物体の落下」なども補償の対象です。また、建物だけではなく家財の補償も付けている場合、「盗難」も補償されます。
保険によっては、20万円以上の損害がないと保険金が下りないこともありますが、家の修理代はそれ以上かかることが多いため、この点はあまり心配ないと思われます。
ちなみに、地震や噴火、津波などによる被害は、火災保険とは別に「地震保険」に入っていないと補償されません。地震保険に入っていない場合、地震による家の損壊は補償対象にならないためご注意ください。
火災保険から保険金が貰えた事例(補修・修理・修繕)
「でも、うちは災害の被害なんてなさそうだし…」「ただの経年劣化だから…」と思っている方も多いのですが、何年も雨風にさらされている家は、自然によって何かしらのダメージを受けていることが多いです。
実際、築5年以上の一戸建てであれば、一見すると被害のなさそうに見える家も含めて、平均70~100万円の保険金が下りるといわれます。
以下は、火災保険の申請代行を行う会社のサイトで紹介されている、給付額の一例です。
雨どいの修理
損害の内容 | 保険金給付額 |
雨どいのゆがみ | 142万円 |
雨どいの金具の破損 | 86万円 |
雨どいの欠損 | 66万円 |
※他の箇所の修理を含む場合あり
屋根から流れる雨水を集めて流す「雨どい」は、壊れると外壁が劣化したり、雨漏りの原因になったりします。早めの修理が大切です。
全交換すると50万円以上かかることもありますが、自然災害によるものと認められれば、十分な額の保険金が下りる可能性があります。
壁の修理
損害の内容 | 保険金給付額 |
外壁の亀裂 | 64万円 |
※他の箇所の修理を含む場合あり
外壁の修理で火災保険が下りるケースとしては、「台風や竜巻で物が飛んできて、壁が壊れた」「雹(ひょう)がぶつかって、壁に穴が開いた」などが考えられます。
かなり珍しいことではありますが、壁に亀裂や破損が見られる場合は、一度調査してもらいましょう。
屋根・瓦の修理
損害の内容 | 保険金給付額 |
台風による屋根被害 | 348万円 |
瓦の破損 | 114万円 |
強風による板金浮き | 58万円 |
※他の箇所の修理を含む場合あり
屋根は、自然災害でもっとも損傷を受けやすい箇所です。台風で破損やズレが起きたり、金属屋根の場合は錆びたり浮いたりすることがあります。
特に瓦は、強風によるダメージを受けやすい素材です。割れたりズレたり飛んだりと、さまざまな被害が考えられます。
住んでいる人でも、屋根の上まではなかなかチェックしないものです。特に災害後は必ず確認して、修理が必要かどうかを判断しましょう。
火災保険を使って家を修理・リフォームする方法・手順
それでは、実際に火災保険を使って家を修理する方法を見ていきましょう。
手順は、大きく分けて4つです。
- STEP1:住宅診断
- STEP2:書類の準備
- STEP3:申請
- STEP4:審査・認定
STEP1. 住宅診断|被害状況の実地調査・写真撮影など
火災保険で家の修理をしたい場合は、まず家の状態をくわしくチェックすることが不可欠です。保険会社に申請する際も、被害状況の報告書や写真などを提出する必要があります。
しかし、問題のある箇所を見落としなく発見し、どこがどのように破損しているのかをチェックすることは、素人には難しいものです。そこで、一般的には以下のような業者に依頼します。
- 施工業者
- 家屋診断士(申請代行サービス)
1は、修理を行う工務店などの業者です。修理すべき箇所をしっかりチェックした上で、見積もりを出してくれます。保険会社への申請手続きは、基本的には自分で行いますが、最近はサポートしてもらえる場合が多いです。
2は、最近少しずつ増えている、火災保険の申請代行会社です。一級建築士などの家屋診断士が調査を行います。また、申請に必要な書類を作成したり、申請の仕方をアドバイスするなど、サポートが充実している点が特徴です。実際の工事は、提携業者が施工します。
家の修理で火災保険が認定されるためには、書類作成や交渉のコツが要るため、最近は2のサービスを利用する人が増えているようです。
STEP2.書類の準備|保険会社から取り寄せる書類も
次に、保険会社に提出する申請書類の用意をします。
主な書類は以下の通りです。
- 保険金請求書
- 修理代の見積書
- 損害状況報告書
- 損害状況写真
保険金請求書は、保険会社から取り寄せる必要があります。早めに連絡して、送ってもらいましょう。
見積書や、損害状況の報告書・写真などは、施工業者または申請代行会社に用意してもらいます。申請代行会社は、書類の書き方をくわしくアドバイスしてくれるため安心です。
STEP3.申請|被害から3年以内に申請が必要!
書類がそろったら、火災保険の保険会社に申請します。
ここで大事なのは、火災保険には保険金請求期限があることです。「損害を受けた日から3年以内」と決まっていますので、もし思い当たる自然災害がある場合は、必ず3年以内に手続きをしましょう。
ただし、3年以内に行わないといけないのは申請だけで、実際の修理はその後でも問題ありません。
STEP4.審査・認定|鑑定人による実地調査があることも
火災保険を申請した後は、保険会社による審査が行われます。その一環として実施されることがあるのが、「損害保険鑑定人による実地調査」です。
損害保険鑑定人とは、保険会社が派遣する調査員のようなもので、申請書類をもとに現場の状況を確認します。中立・公正な立場ということになっていますが、保険会社が派遣している以上、保険会社寄りの立場になることも多いようです。
申請代行の会社に依頼していれば、この調査に立ち会ってもらえます。こちら側の言い分をしっかり主張してもらえるため、非常に心強いです。
すべての審査が終わって認定が下りると、保険金が支払われます。申請から、平均1ヶ月〜1ヶ月半くらいが目安です。
火災保険で家を修理するメリット・デメリット
火災保険を使って家を直すメリットとデメリットを見ていきましょう。
メリット|何度でも使えて、保険料のアップもなし!
- 保険料が上がることはない
- 何度でも使える
- 残金は手元に残せる
火災保険を利用した家の修理には、ほぼメリットしかありません。
まず、火災保険には自動車保険のような等級制度はないため、保険を使ったからといって翌年の保険料が上がるようなことはありません。そのため、被災するごとに何度でも遠慮なく使えます。
また、下りた保険金が修理代より多ければ、もちろん残金は手元に残せます。そもそも、火災保険の保険金は「被害」に対して支払われるものであり、使い道を限定するものではないのです(極端に言えば、下りたお金で修理をしなくてもOKということです)。
デメリット|悪徳業者にご用心!
- 申請の手続きが少し面倒
- 悪徳業者と契約すると、トラブルの元になる
火災保険を使うデメリットはほとんどないのですが、あえて挙げるとすれば上記2点です。
手続きを自分でする場合、被害状況の写真撮影や、申請のための書類の用意などをしなければいけません。これらをいい加減に済ませると、下りるお金も下りなくなってしまいますから、意外と神経を使います。
もう1つ注意したいのが、悪徳業者の存在です。最近、火災保険の申請代行サービスが増えていますが、その中には残念ながら信用できない業者も混じっています。たとえば、以下のようなところです。
- 法外な手数料を取る
- 保険金が下りる前から工事を始める
- 住宅の一部をわざと破壊して申請しようとする
よく見られるのは、工事費とは別に、40%程度の手数料を取る業者です。これでは、たとえ100万円が下りたとしても40万円を持って行かれてしまうため、肝心の工事に回せるお金が減ってしまいます。
また、信じられないようですが、住宅診断の際にわざと住宅の一部を壊して、風災などによる被害と偽って申請する業者もいます。この場合、依頼者も詐欺に加担したと見なされることがありますので、非常に危険です。
申請代行を利用する場合は、提携の工事業者から紹介料をもらうことで収益を出している業者、つまり工事費以外の費用を取らない業者を選ぶことをおすすめします。
【まとめ】火災保険で家を修理するなら、信頼できる業者に依頼を
火災保険を使って家の修理を行う方法をご紹介しました。
火災保険は火事だけではなく、台風や暴風雪などの自然災害による家の損傷もカバーしてくれます。しかし、以前に入った火災保険の内容をきちんと知っている人は少ないため、本来なら請求できる保険金をもらわず、自腹を切って家を修理している人も多いのが現状です。
また、請求できることを知っていたとしても、壊れた箇所が経年劣化によるものなのか、災害によるものなのかを見極めるのが難しいという問題もあります。さらに、書類の作成や保険会社との交渉もなかなか大変ですので、自分で手続きする自信のない方は、信頼できる業者に依頼したほうが安心です。
- 住宅診断は完全無料
- 工事費以外の手数料がかからない
- 火災保険の申請が通らなければ、費用は一切かからない
上記のような業者であれば、保険金の範囲内で修理ができるはずです。
家の修理を考えている方は、まずは住宅診断を受けて、火災保険を使えそうかどうか調べることから始めてみてください!
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